きゅきゅっ。シャアアアアー!
勢い良く、休息を知らない季節雨のように降り注ぐ、温めの湯が飛び出した。宿の浴室いっぱいに湯気が立ちこめ、それは乳白色の霧の如く。
蛇口をひねって彼女は頭から湯を被る。頬が唇が。上昇した体温と共にほんのり朱に色づく。
水気を沢山に含んだ赤毛から雫がしたたり、首筋を伝って、豊かな胸の谷間を滑っていく。
ゼシカは溜息をついた。
「はーあ。今日も疲れたわね。」


蛇口を閉め、ゼシカがぽつりと独り言を漏らしたときだった。
…ガタタン。隣の部屋の壁から物音が聞こえた。少々遅れシャワー音も鳴り出す。隣はヤンガスとエイトの二人部屋だ。
「アラ、隣もお風呂かしら」
そんなことはどうでもいい。自分だって入浴しているのだ、隣だって旅の埃を落とすだろう。したいだろう。
ゼシカは石鹸に手を伸ばそうとした。
『わあ!結構広いよ!!ヤンガスー。背中流しっこしよう。』
『ウワー!ややっ、やべえですって兄貴!いっくらなんでもそりゃあ勘弁してくだせえ、なんかコレ、この状況、あんまりにも不自然でがす!!こ、こっち向かないでっ。』
『なんで?ククールが言ったんだよ。親分と子分の真の付き合いは裸の付き合いからはじまるって。僕、ヤンガスともっと仲良くなりたいよ。』
『…あっ、あんのエロ狐っっ、嘘ばっか吹き込みやがって…。』
!!二人のやりとりを聞いてしまったゼシカは、思わず色めき叫んだ。
「キャーッ!!ちょっと!ナニしてんのよ?!」