194 名前: 自虐さん(物書きレベル1) ◆c6/XxqajTU [sage] 投稿日: 05/01/15 16:37:02 ID:xXSnAxhX
>>187>>191すんごいGJ
っちゅーか>>191がほのかに得ろく感じてしまうのは気のせい?ハァハァハァハァ


で、恥ずかしながらまた妄想してみました。
妄想を文に起こしているだけなので相変わらず変な感じですが…



んじゃ投下。あ、錬金を自力で極めようとしている人は見ないほうがいいかもしれません。







































「ククール…あんたこの前から錬金釜使って何やってんのよ?変なもの作ってるんじゃないでしょうね?」
最近ククールの様子がちょっとおかしい。
宿に泊まっても夜中に出歩いて町娘をナンパすることもなければ道中でゼシカを口説こうともしない。
何かと錬金釜の中身を気にしているようだ。
この間などは格闘パンサーの集団に不意打ちを食らって全員ボロボロになったというのに回復呪文より
釜の安否をまず確認するあたり、呆れて物も言えない。
「ま、できりゃ分かるさ。楽しみに待ってろって。」

…ほんっと何考えてるのかしら。まぁ旅に役立つものを作ってるならいいんだけど、ね。

そんなことを考えながらゼシカは馬車の横についてぼーっと歩いている。
今日は宿を出て大分経つのになぜか魔物がまだ出ない。
手綱を引きながら歩いているエイトとその隣を歩くヤンガスの背中を見ながら
エイトってあんまし男っぽくないわね、サーベルト兄さんとは大分違うな、
ヤンガスの背の低さってもしかしてドワーフか何かなんじゃないの、と意識が冒険から離れていってしまう直前、
馬車の中から響くベルの音ではっと我に帰る。



「おーい止まれ止まれ。ほれククール、何を作ってるのか知らんが完成したみたいじゃぞ。早くふたを開けて見せてみい!」
トロデ王が御者台から飛び降り駆け足で荷台に乗り込む。ククールが後から浮き足立って続けて乗り込む。
一行は街道のど真ん中で一旦待機する形となった。中に全員入るわけにもいかないので全員で馬姫を護る陣形を組む。

「で、あいつが何を錬金しているのか二人とも知ってる?」
何を作っているのかやっぱり気になるゼシカが背中の二人に聞く。
「さぁ…僕は何も聞いてないな。ヤンガス、君はなんか聞いてる?」
「どーせ奴のことだからホレ薬とかでもつくってるんじゃないでげすかね?」
錬金の内容について二人は何も知らないようだ。尚の事何を作っていたのか気になる。

馬車の中からなにやら王の怒鳴りつける声が聞こえる。
錬金は成功しているのだからよっぽど変なものを作ったか大切なものを材料にしたかのどちらかだろう。
荷台から出てきた王は案の定機嫌が悪い。続いて出てきたククールも反省しているのかどうか、
完成したばかりの弓矢をじっと見つめている。

「おいおいおっさん、そんなに機嫌悪くしてどうしたんだよ?」とりあえずヤンガスがフォロー。
「悪いも何もあやつよりによってガーターベルトを錬金の材料に使いおった!
わしの宝物のガーターベルト…ゼシカのガーターベルト…」
ゼシカは一瞬眉間にしわを寄せたがガーターベルトに未練は無いし王の目の保養になる気も無い。
王のフォローはヤンガスとエイトにまかせてククールの前へ。
「で、目的のものができたってのに何落ち込んでるの?」
使い道が無いとはいえガーターベルトはなかなかの貴重品だ。
それを材料にしたこの弓矢もこれからの冒険に欠かせない武器になるはず。
なぜか大人しくなっているククールを元気付けようと笑顔で語りかける。


「あぁ、『エロスの弓』っていうから作ってみたけどただの弓みたいだからな…いろいろ便利に使えるかと思ったのに残念だよ」

エロス…エロス?ゼシカの笑顔が凍りつく。
要するにアレね?この男どこでレシピを知ったのか知らないけどエロスって響きだけでこれを作ったのね?
『いろいろ便利に使う』って何よ?大方女の子のハートを狙い撃ちするとあの娘もこの娘も俺の虜さ!みたいなこと考えてたのね!?
私…こんなに錬金の中身に興味持ってバカ丸出しじゃない!

ゼシカは笑顔のまま眉間にしわを寄せ、その手が呪文の印を結ぶ。
とりあえず王をなだめて一安心していたエイトとヤンガスがゼシカの異常と全滅の危機を感じて急いで駆け寄る。

「ぜっ…ゼシカ落ち着いて落ち着いて!!!」エイトがゼシカの腕を押さえつける。
「姉ちゃん冷静になるでげすよ!こいつだって使ってみれば強力な武器かもしれないでげす!ほらほらよく見てみるでげすよ!」
ヤンガスがククールの手から弓をひったくってゼシカに見せようとする。
が、ひったくった瞬間に矢じりをちょっと腕に引っ掛けてしまう。
「っててて…ほら姉ちゃん、矢じりだけでもこれだけ切れ味鋭いのはなかなかの品でげすよ。これならそれなりの使い手が射れば敵なんぞイチコロでげすね。」
ヤンガスの腕の血の筋を見てゼシカは少し冷静さを取り戻し、呪文の印を解いて魔力を落ち着かせる。
エイトもふうっと息を吐いてゼシカの腕を放した。
「まったく…ゼシカは頭に血が上るのが早すぎるよ。ククールも、錬金するならちゃんと王に相談してからじゃないと。」エイトは若干苦笑いだ。
「ごめんなさいエイト…。ククールも良く考えないで怒っちゃって、ごめんなさい。」
言葉とは裏腹にククールをものすごい形相で睨み付ける。肝心のククールはゼシカに背を向けて口笛を吹いている。
「それよりヤンガス!さっき腕切ったでしょ?大丈夫?」
ゼシカが薬草を取り出して切れた腕にあてがう。
当のヤンガスは腕が切れたことなど気にしてないようだ、というよりもなんだか目がうつろ。

「んんー、ねえちゃんどうしたでがすぅぅ?うでならへーきでがすよぉぉぉ」
「ちょっと…どうしちゃったの?なんか変よ?」
ゼシカの呼びかけに返事もせずヤンガスはふらふらと立ち上がり背中のオノを手に取る。
「んあぁ?ねえちゃんかとおもったらうぃっちれでぃじゃないでげすかぁー?あにきぃーやっつけるでがすよぉぉぉ」
ヤンガスがふらふらとオノを振りかぶりジャンプしてゼシカに襲い掛かる!余裕で攻撃はかわせるものの尋常ではない。
そうだ、前にヤンガスがメダパニをかけられたときと様子が似ている。
「ちょっとククール!その弓矢って何か特殊な効果かなんかあるんじゃないの?」
「…見りゃわかるだろ?混乱だな。でもこれで使える武器だってことが分かっただろハニー?」
さっきからヤンガスに襲い掛かられているゼシカは答えるどころではない。
エイトがゼシカから注意をそらすためにヤンガスに落ちていた石を投げつける。
「ヤンガス!お前の敵はこっちだ!」
石つぶてに反応してヤンガスが振り向く。
「んんーてきがよんでるこえがしたでげすぅぅー。あにきぃーてきはどっちでげすー?」
オノを構えたままおぼつかない足取りでヤンガスがエイトに歩み寄る。まだ攻撃しない。まだしてこない。まだ…
「あーーーにきぃぃぃぃ♪」
攻撃する代わりにヤンガスが抱きついてきた!硬直する一行。
「なーんだかあにきはー、やわらかくてふにふにでー、きょうはいつもよりきれいでげすー♪おんなにみえてくるでげすー♪」
「ちょっっっ、ヤンガス!!!」
なんで話してないし隠してるのに女に見えてきちゃうんだよやめてやめてやめろって!!
「あにきぃぃぃーちゅーしたいでげぇーーすぅーちゅーするでげーーすぅぅぅ♪」
ちゅーってヤンガスとキスしてみたいとは思うけどここではやばいやばいやばいって!!
「あーにきぃぃぃーだーいすきでげすよぉぉーー」
ヤンガスが抱きつきながらエイトの顔を自分の顔にじりじりとひきつける。
ちょっと、いやかなりうれしいけど、これは、ヤバい。けどヤンガスのバカ力のせいで身動きが取れない!
「うわぁぁぁぁ!もうゼシカもククール何とかしてよ助けて助けてたーすけてぇぇ!」

唇が奪われそうになる正に寸前、ふと頭を押さえつけていた力が無くなりヤンガスがエイトに倒れ掛かる。
ヤンガスの肩越しにゼシカが呪文の印を結んでいるのが見えた。ラリホーで眠らせてくれたようだ。
「危なかったわね…それにしてもヤンガスってそういう趣味があるのね…」
気持ちよさそうに地べたにねっころがっていびきをかくヤンガスを覗き込んでゼシカがぽつりと言う。
「んでもゼシカが魔物に見えたのになんでエイトは女に見えたんだ?ただの混乱…じゃあないよなぁ?使えるかもな…」
ククールがエロスの弓を見ながらぽつりとつぶやく。
「ククール…あんた変なことに使おうとしてないでしょうね!いい加減にして!!」
ゼシカはまた頭に血が上ってしまっているようだ。ククールはもうしらばっくれに専念している。

エロスの弓か…二人っきりで使えば結構いいかもね。こんどこっそり借りちゃおうかな?
エイトがそんなことを考えているのも知らずにヤンガスは街道のど真ん中で気持ちよさそうにいびきをかいている。

いろんな意味で今日は冒険どころじゃなさそうだ。