ねたばれ注意







































暗黒神ラプソーンを倒してから三ヶ月半程。
トロデーンの近衛兵隊長になったエイトと、その直属の部下となったヤンガスは。トロデ王に許しを貰い、先の旅で世話になった人達への挨拶の為、諸国をまわっていた。
束の間の。二人きりだけの短い旅である。

「へえ。王サマ達は相も変わらず元気なのか。良かったじゃねえの。
ま!とにかく世界が平和になったんだ、万々歳だよな〜。聖堂騎士団長ククール様の地位は安泰だし、ふたたび修道院長としておさまった兄貴が傍らにいる。オレはかなり幸せだぜ。」
「ククールってば。」
おどけたククールの口調にエイトが吹き出す。
――エイト達はマイエラ修道院を訪れていた。エイトヤンガスがククールと最後に会話を交わしたのは三ヶ月半前のミーティア姫の結婚式以来だ。
レティスの力で生き返ったサーベルトの介護におわれながらも、ゼシカはよくトロデーンを訪問してくれるが、騎士団長に就任したククールはそうもいかない。
ククール本人は口に出しては言わないが、かなり真面目に騎士団長としての仕事を頑張っているらしい。
マルチェロと協力して慈善活動を積極的に行うククール(問題児と名高かった)の驚きの変貌ぶりを、ドニの街のバーテンが話し聞かせてくれた。
「で、お前ら、式は何時なんだ?」
「ごほっ。いやぁ、来年あたりってのは兄貴と話して決めてはいるんだが……でがすよね兄貴?」
「うん。そう。今年はバタバタするだろうから、来年にしようって。」
ククールの問いに、ヤンガスはやや視線を落として、赤面し、咳き込む。
決戦前から皆に二人の仲がそういうものだと知れ渡っていたとはいえ、やはり気恥ずかしい。
ヤンガスの純愛が実ったとき、一番喜んでくれたのはククールだった。

「式場はやっぱりトロデーンなのか?それともサウ゛ェッラ大聖堂?まっさかサザンビークじゃねえだろ。」
「まだ決めてないんだ。僕、このまえパルミドはどうかなって言ったんだ。そうしたらヤンガスは反対するしー…。」
「当たり前でがすよ!兄貴はそのー…本当ならお姫さんじゃないでげすか!!せめて、け、結婚式はイイところでっ。」
「…ヤンガス、言ったじゃないか。そんなことは気にしなくていいんだよ。僕は僕だ。僕はただヤンガスと一緒にいられたらそれだけで凄く幸せなんだから。」
「あ、兄貴…」

「オレと兄貴なみにお熱いね。」
エイトとヤンガス、二人のやりとりを聞いていたククールが、自分の手でぱたぱたと扇ぐ。

「………それならば。」
執務机に向かい、今まで閉口していたマルチェロが口を開いた。書類から顔をあげず。

「もし、来年式場が決まっていなかった場合。我が修道院を誓いの式の場としてお貸しする。
……歓迎しよう。」 マルチェロの、そのぶっきらぼうな温かな申し出に。エイトとヤンガスは顔を見合わせた。

『ありがとうございます!』

おしまい