ククールおにゃのこ注意







































ぎし…ぎし…。一定的なリズムを保って揺れ軋む、安宿の固いベッド。
微かに聞こえてくる、甘さを含んだ小さな喘ぎ声。
恐らく、本人達は声を押し殺してしているつもりに違いない。
ぎし…!ぎし…!!ぎし…!!!
ベッドの軋む音が次第に速まり、喘ぐ声もまた大きくなった。絶頂が近いことを示している。
「ぁあっ…あっあ、や、ヤンガスぅッ……!!」


――馬鹿、馬鹿馬鹿。それで隠しているつもりかっ。バッチリ聞こえてるんだよ馬鹿ヤロウ! 些か赤面しながら、ククールはそう心の中で毒付いた。
…今し方まで、行為を行っていたヤンガスとエイトの二人に向けて。
幾ら極力音を抑えようとはしても、だ。所詮は安宿。タカが知れている。
音は空気を伝い、隙間だらけの薄い壁や天井を震わせる。
耳を塞いでも、その音は指の隙間からねっとりと侵入してくる。防ぎ様がない。

隣の部屋から音がしなくなった代わりに、ぼそぼそと喋り声が聞こえてきた。
ヤンガスが行為の後のエイトを労っているのかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。今は。
「はあ」
溜息が一人きりの部屋に虚しく溶ける。ククールは腰掛けていたベッドから立ち上がると浴室へと向かった。
少々身体が熱っぽい。隣人の営みの声を聞いたせいゆえか…?愛しい男の顔を思い出した。
「マルチェロ…」
銀色の長い睫を震わせ、切なげに名前を口にして。ククールは己の指をそろそろと躊躇いがちに、自分の濡れた秘所へと伸ばした。

糸冬