多分アッシの一目惚れだったんだろう

 初めての出会いは本当に最悪だった。
なにしろ、女とおっさん連れの馬車を襲って金を奪うつもりだったんだ。殺されても当然なくらいのことをしてしまった
 こんな糞みたいなアッシを、姉貴は助けてくださった
縦より横のほうが長いアッシの体を、必死で引き上げてくれた
パルミドみたいな町で暮らしてきたアッシには信じられないようなことで、天使が舞い降りてきたのかと思いやした

とにかく、そのときからアッシにとって姉貴が全てで、絶対だ。
死んでも姉貴を守ると決めた

何よりも 大切で 大好きな 姉貴を

「ヤンガス、どうしたの?顔真っ赤だよ」
「柄にもないこと考えてたら恥ずかしくなってきたでがす・・・」
「何考えてたの?」
「・・・秘密でげす」
「えーずるい」

いつか、この想いを打ち明けられる日がくればいい
きっとこの人は照れて笑ってくれる
そのためにも、今は前を向いて歩こう










今思えば、どうして私はヤンガスを助けたんだろう
もしかしたら殺されていたかも知れないのに、いや実際橋が落ちたりして危なかった


・・・多分、斧を振りかざしてるヤンガスの目に、悪が感じられなかったからだろうな
すごく哀しげでやるせない目をしてたんだ。兵士の私が、剣を抜くのさえ躊躇ってしまったくらいに

引っ張りあげた後、ヤンガスは私のことを姉貴と呼んだ
なんだか恥ずかしくて照れくさかったけど、同時に嬉しかった
今までずっと、城の小間使いとかで下の身分だった私を慕ってくれる人なんて初めてだったから

「姉貴?どうしたんでげすか?」
「・・・私はヤンガスのこと大好きだよ」
「な、ななな!それはどういう意味で・・・」
「そー言う意味!」

ずっと一緒に旅ができたらいいな
守りあって、生きていきたい
どうか どうか 終わりがきませんように
永遠に一緒にいられますように