>253-254氏

主「ねぇ、ヤンガス。いい物作ったんだけど着てくれる?」
ヤン「いい物?なんでげすか?」
主「ぼくのバンダナとね、ヤンガスのとうぞくのこしみので・・・」
(ゴソゴソ)
ヤン「ほ、ほんとにはくんでげすかっ!?」
主「?当たり前だよ。ほら」
ヤン「・・・・」
(着替え中)
主「わぁ!似合うよヤンガス。かっこいい!」
ヤン(あ、兄貴が喜ぶならこの格好も・・・いや、でもこれで出歩くのは・・)

ゼシ「甘い空気なんだか、笑える空気なんだかよくわからないわね」
クク「あれが甘いのか?とにかくエイトの目がおかしいのは確かだ」
トロ「似合うってのはわかるが、かっこいいとは・・・謎じゃ」
馬姫「ヒヒン」(笑っているようだ)




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>540-541氏

嫌だって、言ったのに。
大切だから、壊したくないから、絶対にやめてと、そう、言ったのに。
いつかこんな日が来るかもしれないと心のどこかで感じていて、そんな自分がすごく嫌いで。
少しでもその可能性を考えてしまう自分が情けなくて。
引き裂かれた服の隙間から風が通る。分け与えられた熱が、苦しい。
覆うように、触れるように、肌に直接、感覚が吸い込まれていく。
鈍い刺激が心臓に叩き込まれて、真っ白な世界から引き戻される。
全身に走った痺れが身体をかたどって、僕が舞い戻ってくる。
「その時」に与えられるあたたかさは、人によって千差万別だ。
今日はじめて感じ取ったこの温度と、降り注ぐように戻ってくる鼓動。
どこまでもまっすぐで、どこまでも優しくて。ずっと包まれていたいと思うような、柔らかな光、命を分け与えられる瞬間。
僕はこの感覚を知らない。知りたくもない。教えないでと、何度も何度も、心の中で繰り返した。
だけど、止められないってことも、本当は知っていたんだ。
ヤンガスがどんな人か、わかってるから。どれだけ僕らを想ってくれているか、知っているから。
あふれ出す涙と一緒に、重くなった身体に意識が戻る。
悲しいほどに柔らかかったその光が、徐々に静かに消えていく。
むせ返るような血の匂い。おびただしい数の魔物の残骸と、隣の。
「…使いやがったのか…あの馬鹿…」
身を起こしたククールがぽつりとつぶやく。同じく起き上がったゼシカも、半ば呆然と
その場所を見つめている。
半ばヤケクソ気味に片付けられた魔物たち。ただ黙って立ち尽くす王様。
涙で前が良く見えない。顔をぬぐう間も惜しくて、手探りで探し当てる。少しずつ、でも確実に冷たくなっていく、
ヤンガスの身体。
「…ごめんね、ごめんね、僕らが弱かったばっかりに」
多分声は聞こえていない。指をなでてもさすっても、僕の泣き顔を見ても、閉じた目が開くわけもない。
「…使わせないって誓ったのにね。自己犠牲なんか許さないって、決めてたのにね」
どんどんと熱を失っていく手を頬に当てる。まだ柔らかい指、あと何分、このままで持つだろう。
爆発しそうなくらい鎮まった気持ちを、ギリギリのラインでつなぎとめる。
これは夢だ。夢に決まってる。夢じゃなかったら、僕は。


奥歯を噛み締め、蘇ってくる悪夢を必死で振り払う。握り締めた剣の柄が手に食い込んで痛い。
思い出したくもないことほどこびりつくものなんだろう、あの日の息苦しさが消えない。
ヤンガスがメガザルを使う夢を見てから、僕の戦いに対する態度は明らかに変わった。
現実はどうしようもなく重くて優しいことを、思い知らされたから。
あの光景が叶わないように。あの痛みが、狂いそうな温かさが、幻で終わるように。
容赦を忘れ始めた剣が、前に後ろに、いろんな傷を作っていく。